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シューマンのこころの中

先日の『シューマンの指』、途切れ途切れでしたが、やっと読み終わりましたbook

シューマンの芸術が、血なまぐさい事件と結び付けられることに 少し抵抗を感じましたが、話の展開や繊細な表現が、まるでシューマンの音楽のようでした。

シューマンは理論派?感情派?― シューマンの音楽を一言で表すとすごく難しいのですが、他の作曲家と明らかに違う空気が漂っているのは確かです。

初めてそれを感じたのは中学生の時で、ホロヴィッツの弾く「アラベスク」作品18の演奏を聴き、素敵な曲なのに、途中背筋が凍るように感じたのを未だに覚えています。

「受験ピアノ」で厳しかったレッスンの合間に、技術的には難しくないこの曲がどうしても気になり、 先生にお願いして課題にして頂き、弾いてみました。するとやっぱり不思議な心持になるのです。
Minore1の後、規則正しかった音楽が突然二重線で隔たれ、"Noch langsamer"(さらに遅く)という表示に変わり、調性が逡巡しながらテンポ感が失われる箇所です。

私はそのシューマンの深淵のようなものの正体を知るのが怖くて、でも大人になってピアニストになったら、きっとこの底知れない感覚とちゃんと向き合わなきゃいけないんだろうと。大人になりたくない、などと感じたりしていました。

シューマンは自分の曲のあちこちに、音文字や暗号のようなメロディを隠しています。
それは「例えば旅行へ行って色々な場所で写真を撮ったときに、どの写真にも同じ人物が写っているような不気味さがある」
そのような表現が、この本には書いてありました。

一番知られている暗号は、後に妻となるクララが作曲した《音楽の夜会》
の一節から取った、5度下降型の「クララのモティーフ」です。
ピアニストになって、シューマンの色々な作品を弾けば弾くほど、物哀しげなクララのモティーフがふいに現れ、何かを訴えかけてきます。この本でも、そのような場面がたくさんありました。

ミステリー小説という思いがけない観点から、シューマンという人間を改めて感じることができた気がしますflair

シューマンのクララへの切ない恋心、そして結婚、ブラームスとの出会いと3人の交流、シューマンのこころの闇と死、その後のブラームスとクララの繋がり―。
小説という目線から改めて見てみると、シューマンの人生は、私が昔から大事に繰り返し読んでいる小説のあらすじと似ていることにも気付きました。

そして、久しぶりにアラベスクを弾いてみたら、"Noch langsamer"の右手メロディが「クララのモティーフ」だということに気付いてしまいました!ぞわぞわ・・・。どうして今まで分からなかったんだろう?
シューマンの発見は、これからも続きそうです。


明日は山梨で本番です!とても素敵な場所のようで、楽しみlovelybell
他にも今ハマっている本を2冊持って、行ってきますbullettrain

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コメント

ピアノは弾けないのでわかりませんが、
曲の中にもいろいろな発見があるんですね。

興味津々です。

寒い小淵沢はいかがでしたか。
「シューマンの指」、後半のミステリー部分は私の好みではありませんが、前半のピアノ曲とストーリーの絡みはシューマンの曲想と相まって面白く読みました。シューマンの音楽は写実・幻想・音楽形式が混然一体となって聴く人に様々な情感を呼び起こすのではないでしょうか。そしてシューマンのあの病が時々不意に顔を覗かせるように不気味な旋律が隠れています。
私はOp.18はキーシン、次の作品19はホロヴィッツのライブ録音で聴いています。いずれも大変美しい演奏ですが、よく聴いているわけではありません。シューマンの曲を聴いていると時々いやな世界に引き込まれそうに思う時があるからです。

とも様

コメントありがとうございます!
音楽は数学と相通ずるものがあると言われますが、感情の表し方だけでなく、理論的な楽曲分析も興味深いです。

hiroo様

ミステリーの部分は、私も良く分かりませんでしたが、音楽と言葉の多彩な表現が面白かったです。

確かにシューマンという多面体には深淵も多く存在しますが、一方で私の大好きな「くるみの木」のような清々しい歌曲もあるので、シューマンの人間らしい部分も上手く表現していけたらいいな…と思っています。

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    ☆4月30日(日) 15:00
    共演:北村 貴子(オーボエ)、北村 一平(コントラバス)
    カフェ・ターブル・ビジュー(湘南台)
    お茶ケーキ付 2000円
    ご予約 Tel.0466-46-0121
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